1. EC売上急伸の裏で深刻化した「チャージバック」と「現場の疲弊」
コロナ禍を経て多くの企業でEC事業が急成長しましたが、その裏側でクレジットカードの不正利用も比例して増加するという、新たな課題が浮上しています。ロクシタンジャポン社も、EC売上の伸長と共に不正利用によるチャージバックが増加し、確定したはずの売上が失われ、利益目標の達成を阻害する要因となっていました。しかし、ウェビナー(注1)に登壇した同社の吉田諭史ディレクターがそれ以上に深刻な問題として挙げたのが、不正チェックを手動で行っていたことによる現場スタッフの疲弊でした。毎朝の出荷前に、膨大な注文の中から疑わしいものを一つひとつ確認する作業は、精神的な負担が極めて大きく、持続可能な体制とは到底言えない状況だったと振り返ります。
2. 決め手は「自動化」と「EMV 3Dセキュアの最適化(パターン①承認)」
現場の負担軽減とカード会社からの対策要請への対応は、まさに喫緊の課題でした。この状況を打破するために同社が選んだのが不正検知サービス「Forter」です。導入の決め手は、その高度な自動検知能力に加え、EMV 3Dセキュアの適用を最適化できる点にありました。3Dセキュアは不正対策に有効な一方、顧客によっては購入手続きの途中で離脱してしまう「カゴ落ち」の原因にもなり得ます。Forterを導入することで、全ての取引に3Dセキュアを適用するのではなく、リスクに応じて適用を「出し分け」できる運用モデル「パターン①」の要件を満たすことが可能となり、セキュリティと顧客体験の両立に道筋が見えたと吉田氏は語ります。
3. 現場の解放と、売上予測の精度向上という大きな果実
Forter導入による最も大きな成果は、何よりもまず、手動での不正チェックから現場が解放され、スタッフの精神的な負担が劇的に軽減されたことでした。さらに、不正によるチャージバックがほぼ無くなったことで、事業運営にも大きなメリットが生まれます。「今月の目標を達成したと喜んだ翌月に、大量のチャージバックで利益が未達に終わる」という悪夢のような事態が解消され、売上予測の精度が格段に向上したのです。これにより、安定した事業計画の立案と、持続的な成長に向けた次の一手を打つことができるようになったと、その効果を強調しました。
4. 不正対策は、事業成長を支える「攻めの投資」へ
Forterの導入は、ロクシタンジャポン社にとって守りのためのコストではなく、ビジネスを成長させるための「攻めの投資」となりました。セキュリティを強化しながら、コンバージョン率の低下を回避し、売上を最大化する。そして何より、従業員が安心して本来の業務に集中できる環境を作る。これらを実現できたことこそ、最大の価値だと感じているといいます。同社の経験は、EC事業の成長と、それを支える組織の持続可能性の両立を目指す企業にとって、一つのモデルケースとなるに違いありません。
当時の現場が抱えていたリアルな課題や、導入によって得られた具体的なメリットについて、ロクシタンジャポンの吉田ディレクターが語るウェビナーのダイジェスト版(約5分)もぜひご覧ください。
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ロクシタンについて:ロクシタンは、南仏プロヴァンスのライフスタイルを届けるコスメティックブランドです。植物素材をベースにしたスキンケア、ボディケア、フレグランス製品などを展開し、自然の恵みを活かした品質の高さが魅力です。国内の店舗数は120店舗以上です。(2025年6月現在)
公式通販サイトはこちら:https://jp.loccitane.com/
注1 :
本コンテンツは、2025月6月27日に開催されたウェビナー Commerce Next 2025のForter社のセッションにて行われた パネルディスカッションの内容を再構成したものです。