Published: 8月 28, 2025
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Written by: Yuji Itoh

1. 巧妙化する不正手口と3Dセキュアの限界

ECサイト、特に航空券のような高額な商材を扱う事業者にとって、クレジットカードの不正利用は深刻な経営課題です。LCCのスプリング・ジャパン社も例外ではなく、2018年からのインバウンド需要の拡大に伴い、航空券の不正購入が急増。ウェビナー(注1)に登壇した同社の徐智瀚部長によると、2019年には被害額がピークに達し、毎月多額の損害を被るという厳しい状況にあったといいます。不正対策としてEMV 3Dセキュアを導入し一定の効果はあったものの、顧客からの問い合わせが増加したほか、不正を行う側の技術も向上し、3Dセキュアを突破する巧妙な手口も出現。3Dセキュア単独での対策に限界が見え始め、カード会社からも追加対策を求められるなど、新たな打ち手が急務となっていました。

2. LCCが直面した「リソースの壁」とForter導入の決め手

搭乗数日前に航空券を購入し、カード利用の不正が発覚したときには既に搭乗済みで手遅れ、というケースが後を絶ちませんでした。この課題を解決するため、複数の不正検知サービスが比較検討されましたが、LCCという事業特性上、多くの人員を割くことはできません。そのため、AIを活用し、検知から判断までを完全に自動化できるソリューションを強く求めていたと徐氏は語ります。他社サービスでは最終判断を人間に委ねる部分が残る中、Forterは完全に自動化されている点が導入の大きな決め手となりました。また、同社の開発チームは中国にもいるため、Forterに中国語対応可能なスタッフが在籍し、開発チームと直接連携しながらスムーズに導入を進められたことも、グローバルなサポート体制を持つForterならではの強みでした。

3. 不正発生率0.003%へ!劇的な改善がもたらした効果

Forter導入後の効果は、同社の想像をはるかに超えるものだったといいます。導入前、全件EMV 3Dセキュアを通していたにも関わらず約0.8%あった不正利用の発生率は、導入後には約0.003%と、まさに「ゼロに近い」と言えるレベルまで劇的に減少。これにより、不正調査の依頼件数も大幅に減り、現場の運用負担は大きく軽減されました。さらにForterは、不正な取引をブロックするだけでなく、不正の発生率をどのぐらいまでに抑えてほしい、ブロック率をどの数字まで抑えてほしいということを契約の中で定めているといいます。これにより、同社は不正利用への対応業務が減って、安心してビジネスの成長に集中できるようになり、不正対策が守りから攻めの投資へと変わったと徐氏は評価します。

4. 不正対策を、事業成長を加速させる戦略的投資へ

今回のForter導入は、単に不正被害を減らすだけでなく、限られたリソースの中でいかに運用効率を高め、コスト削減し、利益を最大化するかという課題に対する明確な答えとなりました。巧妙化・高度化する不正に対し、テクノロジーを駆使して立ち向かうことは、もはやコストではなく、健全な事業成長に不可欠な戦略的投資であると、今回の事例は示しています。スプリング・ジャパン社のケースは、同じように不正対策に悩む多くのEC事業者にとって、課題解決の大きなヒントとなるでしょう。

ウェビナーのダイジェスト版(約5分)では、スプリング・ジャパンの徐部長が当時のリアルな課題と導入後の驚くべき変化を詳しく語っています。ぜひご覧ください。

[ダイジェスト動画はこちら] 

スプリング・ジャパンについて:
スプリング・ジャパン(SPRING JAPAN)は、日本航空(JAL)グループのLCCです。成田国際空港を拠点に、高い運航品質とLCCならではの魅力的な運賃で、国内線は札幌・広島、国際線は上海・天津・ハルビンなどの中国各都市を結んでいます。
スプリング・ジャパン公式サイトはこちら:https://jp.ch.com/

注1 : 

本コンテンツは、2025月6月27日に開催されたウェビナー Commerce Next 2025のForter社のセッションにて行われた パネルディスカッションの内容を再構成したものです。

 

 

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